MPコース(第2次選抜2日目)
小論文の問題例(例2:氷の性質〔化学系〕)
| 氷を濃い食塩水に浮かべたときと蒸留水に浮かべたときでは、どちらがはやく融けるかに興味をもった。氷をビーカーに入れ、実験を行ったところ、蒸留水に浮かべた方がはやく融けた。 その理由を調べるため、様々な条件下で実験を行い、次の結果を得た。 [実験とその結果]
(1) | 氷をポリエチレンの袋に入れ、食塩水と蒸留水に浮かべた。結果:食塩水と蒸留水で氷の融ける速度に、ほとんど差はなかった。 | (2) | ビーカー底部の温度を測定した。結果:蒸留水を入れたビーカーの方が低かった。 | (3) | ビーカー上部の温度を測定した。結果:食塩水を入れたビーカーの方が低かった。 | (4) | 液をかき混ぜながら融ける様子を観察した。結果:食塩水と蒸留水で、氷はほとんど同じ速度で融け、融け終った時の液の温度には、ほとんど差はなかった。 |
[問題] 以下の問1〜5を説明せよ(それぞれ300字以内。必要ならば、図を加えてもよい)。
問1 | 純水は0 ℃で凝固するが、海水の凝固点は純水より低く約 −1.8 ℃である。このように溶液の凝固点は純溶媒の凝固点より低くなる。この現象を凝固点降下という。この問題の氷の融ける速度の違いには凝固点降下が関係しているだろうか。 | 問2 | 実験(1)で、氷をポリエチレンの袋に入れることにより、袋に入れないときとは違った結果が得られた。この違いは、どのようなことを意味していると考えられるか。 | 問3 | 実験(2)および(3)の結果をもとに、食塩水の入ったビーカーと蒸留水の入ったビーカーの上部から底部までの温度分布を予想してみよ。また、そのような結果をもたらす原因としてどのようなことが考えられるか。 | 問4 | 以上の考察をもとに、蒸留水に浮かべたときの方が氷がはやく融けた理由を考えよ。また、その理由は、実験(4)の結果と矛盾しないか。 | 問5 | 氷が融ける速度の違いの原因をより明確に示す実験、あるいは、この問題と関連した独自の研究テーマ・研究方針を考えてみよ。 |
[発表用資料作成] プレゼンテーションでは、問4と問5について発表してください。発表用資料として、A4版用紙5枚程度に、遠くからでも他の人に見やすいようにサインペンを使って大きな字でまとめてください。説明のための図を加えても構いません。 その際、たとえば次のように、適当な項目ごとに分けるとまとめやすいでしょう。
1. | 受験番号、氏名、選択した小論文番号など
(プレゼンテーション資料の作成【PDF】の項参照) | 2. | 問4に対する答(仮説) | 3. | (2.のつづき)実験(4)の結果と矛盾しないことの説明 | 4. | 発展した研究例(例:着色した氷を使って実験を行うことにより、氷が融けた後の水の動きを明らかにする):(1) 目的と仮説、(2) 実験計画・方法 | 5. | (3.のつづき)(3) 期待される結果、(4) 結論 |
[ヒント]
● | 密度の順序:食塩水>氷が融けた冷たい水>蒸留水 | ● | 氷が融けた冷たい水は氷の近くに存在するかどうかを、食塩水を使った場合と蒸留水を使った場合について考えてみるとよい。 | ● | 問5については、たとえば、「着色した氷を使って実験を行うことにより、融けた後の着色水の動きを見る」、「氷をビーカーの底に固定した場合は、食塩水と蒸留水ではどちらがはやく氷が融けるか比較する」など、いろいろ考えられる。 |
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